まわって紡ぐか
私は舞台版『阿修羅城の瞳』が大好きなのです(しかも2003年再々演版より、2000年再演版の方が好き)。今回映画化ということで、かなーり期待して見に行ったのですが…うーん、期待外れ。。新感線独特の音楽や笑いを取り除くと、こんな違うようになるのかと。いのうえひでのり氏の手腕を再確認。というか、ワタシは新感線のベタな笑いやうるさい音楽が大好きなのです。舞台と映画は違うとはいえ、あの面白い作品をこんなおもんなくするんやったら、映画化すんなよ…
以下、ワタシのイマイチポイント
・抜刀斎、桜姫が出てこない(舞台の3時間強の上演時間に対し、映画版じは2時間ちょい。仕方ないといえば仕方ない。でも、これでお笑い要素が一気に無くなった。「刀はお友達だー!!」が無いと…)
・安倍清明は、国成延行と変わり、何か変な人やった(鬼に固執しすぎ。邪空が狂気の塊のような人物なのだから、この人までおかしくなると、キャラかぶるよ)。最初に死んでから、それっきり出てこないし。
・殺陣はかっこいいのに、戦ってる空間が狭い(これも仕方ないと言えば仕方ないが)
・CGが微妙。しっくりこない。阿修羅城内が、特に違和感。さかしまの城って、実際映像化すると、なんとも言えない。
・四世鶴屋南北の人物像が中途。ただのちょっと面白いおじさんやないか?出雲を裏切るほどの、戯作の鬼っぷりはどこへ?
・鬼気持ち悪い。斬られたら、黄緑のスライムみたいな体液出てくるし。
・音楽が異国情緒溢れてて(中近東?)合ってない。菅野よう子さん、攻殻機動隊のはかっこいいなーと思ったのに。エンディングの「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」もどうよ?
・大倉孝二さん、皆川猿時さんの使い方がもったいない。
・笑死の子が下手。谷地の子も合わない。
・冒頭で、出雲が幼型の阿修羅を斬ったエピソードを出してしまってるから、ワクワク感が削がれる。
目張りのない染様は物足りないわ…歌舞伎のセリフはさすが。邪空につかまれて、すごい困った顔してたんがツボ。渡部さんは狂気じみてて、かなり邪空やった。超ヤバイ。樋口さんは、今までの美惨踏襲。違うとこは、完全に邪空を男として見てた(夏木さんはほんのり、江波さんはあんまり)。宮沢りえさんは、きゃしゃーんでびっくり。つばきは合ってない気がしたけど(着物かわいかったが)、阿修羅王は美しくて良かったと思う。
ラスト「夢桜」が流れないと寂しいなァ。あと、チョンっていう拍子木の音もないし(歌舞伎じゃないから、当たり前やけど)。