百万のキャンドル

 『マリー・アントワネット』観てきました(映画じゃなくて、ミュージカルの方ね)。評判良くないので期待せず観劇。梅藝は音響悪いという話を聞くが、今回初めてその通りやと思った。普段、大劇場と梅藝でしかミュージカルを観ないから、耳が慣れたのかも(とシアターゴアーな人のような発言をしてみる)(そんないい耳じゃないくせに)。
・で作品ですが。面白いといえば面白いけど、ミュージカルにする話なのか?歌に乗せると情報量が少なくなりますよね?だから、マリーの変化(前半の無知ゆえのおバカさんから、ラスト超然として死ぬ女に変わる間に何が!?)とマルグリットの心情がよくわからんのですよ。複雑な物語や気持ちの変化をつづるには、ミュージカルは不向きだと思う。それに、今回はその気持ちを観客が想像して埋めることも難しいと思う。特にマルグリットは、言動がころころ変わる。それを「人間は矛盾しているものだ」と片付けるのはいかがなものか。もっと、彼女には「しゃべって」ほしかったです。そのころころ変わるに至った心の変化を語ってほしかった。がっちりストレートプレイで観たかったなーと。しかし、そうすると、カリオストロはいらんよね。祐さんの存在感とガツンとした歌声をもってしても、全てを操ってる関は薄い(そういう設定よね?)。
・何かに煽られ、暴走していく民衆の姿は、今のワタシたちと同じ(マルグリット含め)。理由も語られず、矛盾した行動をとる自分の姿を突きつけられているから、ワタシは不快なのかもしれないとも思える。ここにも9・11以降の世界の姿が(それに限らず、風評に惑わされ酷い行動をとるのは、戦争とか関東大震災の時の朝鮮人虐殺とか他にもいっぱいあるよね)。しかし、かといってマルグリットに感情移入できるわけでもないんよね。。
レミゼにハマりすぎて、反体制側に正義があるように思ってしまってるけど、そんな単純なもんじゃない(レミゼの学生たちの最期が美しいことに変わりはないけれど)。貴族の首を槍に刺して、嬉々として行進する民衆の怖さときたら。
・『スゥイーニー・トッド』も重苦しかったけど、今回の感じとは違うなー。ベルばらイメージから抜け出せないからかなー。あ、でもベルばらでは嫌いなフェルゼンを。好きになれました。まともな人やった(そして芳雄くんかっこよかったv)。
・そんなに好きじゃないベルばらの良いところに気づくなんて皮肉★バスティーユは観客も熱くなるいい場面やし、アントワネットの「さようなら、フランス!」は、それまでのダラダラした展開を忘れさせてくれるもん(そして、薔薇タン、ボレロへと続く…)(といいつつ、星組公演観なかった女がここに)。インパクトのある場面がないのも残念の一因かも。
・では役者さんについて(別次元やと思って下さい)。
・かなめさんは衣装のせいもあり、地味な印象。1幕のアントワネットは、バカっぽくてイラー。でも、ラストは美しかったです。歌はさすがやし。
・マルグリットは新妻さんでした。キャリア5年ですよ!すごいな。「心の声」の熱唱っぷりがかっこいい!マルグリットの頑なさ、傲慢さも体現してて、良い女優さんやなーと。
・禅さんがつやつやしててかわいかったですv←40の男の人にかわいいて。「私はここに残る!」って言い切るとこが素敵でした。つやつや。
・芳雄くんは、前述の通りかっこよくなってたヨ!でも白タイツも似合うヨ!(王子)アントワネットと別れた後の、長いうめき声にドキドキしっぱなし。歌うまくなったってあちこちで言われてるけど、あんまいい耳じゃないのでよくわかんないです。ずっとうまいと思ってたもん。
ボーマルシェは怖い。マルグリットや民衆より、ちょっと上から物事を見てると思う。彼は、煽る側の人間なんやろうね。彼はメディアやもん。そんな感じで、山路さん素敵でした。さっき2時間ドラマの再放送で、殺されてはった。
・アニエスの土居さんが、すごく良かったです。初めて拝見したんですが、美しい歌声と真摯な演技で、修道女って感じでした。「良心」(ただし、力によって消されてしまいそうな)でした。
・オルレアン公を綜馬さんで観たい…きっと冷たくて、悪者で素敵やろうなー。
・アンサンブルの史桜さんはきれいで目をひく。