もうおしまいだ

grandrevue2006-10-06

 仕事帰りに(ぴゃーと帰りました)、蜷川さん演出のギリシャ悲劇『オレステス』を観劇。
・座席に水よけビニールとタオル…何が起こるのかしら…USJのウォーターワールドか??(まあ、水はかからんかったわ)。ヤオヤ舞台は、近くで見ると結構傾斜がきつい。その上、降り注ぐ水でぬれてるなんて、体力奪われるよねー。
・降り注ぐ水は、不幸と共にやってくる雨。打ちのめされたものたちに、容赦なく叩きつけるように降る(ほんとに土砂降り。舞台であんなに水か使われてるのを初めて見た)。そして、エレクトラやピュラディス、女たちが流す涙。悲しみ、嘆きはとどまるところを知らないかのように、舞台をぬらす。
・不貞を犯した母を、父の仇と殺したオレステス。種をまいた父と、育ててくれた母。どちらをとるかと考え、彼は父をとった。繰り返される母への罵声には、耳をふさぎたくなる。あまりに母を(むしろ女を)悪く言い過ぎではないかと。そんなワタシの気持は、コロスたちが代弁してくれる。「母殺しは恐ろしい罪」と。父を殺した母を殺すって何や!無茶苦茶や!
・そんな無茶な話なので、ええっ!ってなるようなラストも、結構すんなり受け入れられる。むしろ、神の一声で世界が定められた道へと進むなら、そんな神がいてほしいと思う。が、自分の信じる神の名の許に世界を導こうとすると、やはり戦いが繰り返されてしまうのだろう。ラストに流れる爆弾の破裂音と国歌(ワタシがわかったのは、「星条旗よ永遠なれ」だけ)を聞きながら、ぼんやりそう思った。呪われたオレステスの祖先たちも、争いを繰り返してきた。復讐の連鎖を断ち切るため、神が下した「追放と裁判」という裁きは、神々しかったもの。ラストに降る雨は、復讐というドロドロした感情を洗い流すものであってほしい。
・藤原さん、太った?細いけど、ワタシの中では、もっとガリガリでした… むしろ、きれいな肌やった。 パワーがあるのに繊細な人よね。狂気の現れる様が、恐ろしくて(でもそれが一番観たかったの★)。声が違ってた。声変わりしたのかと思ったもん。
中嶋朋子さんは、白くて細くて顔ちっさー!不幸を背負いすぎて、青白いのに、不思議と折れそうではないのです。イメージは、王家のアムネリス様。
北村有起哉さん、かっこよかったわ☆若干堅い気もするけど。ピュラディスは、今友達にしたいヤツ№1です。いいヤツすぎる!
・タータンと瑳川さんは、びっくりするくらい出番が少ないです。コロスの人たちの方が出ずっぱり。タータンはきれいでした。トップながら、おっさん道を極めた香寿たつきさんとは思えない。
・吉田さん、タイタスとはうって変わって、臆病な…でもうまいです。一見臆病に見せないもん。