振りかざせ、カミソリ

 1本目は日生劇場で『スウィーニー・トッド』。先行予約で先走り、大阪公演あるのに東京まで来ちゃったよ…
・ラストが悲惨でびっくりした。観終わって、こんな重たい気分になるミュージカルって初めて(『春麗の〜』は別の意味で重たかったね←トラウマ)。言ったら、ネタバレなので…乞食女がっ!とだけ★
・ソンドハイムの作品は初体験。よくこんな話をミュージカルにしようと思ったなと。殺人鬼が主人公。しかも人肉パイ作って売るとかさー。アメリカのミュージカルって、色々あったけど、歌って踊ってハッピーエンドな感じやのに(そういえば、ダンスナンバーなかったなー)。ストレートプレイとして、蜷川さんあたりが演出してそうな作品でした。でも、曲すごかった。ちっともキャッチーじゃなくて、口ずさめるナンバーは全然ないけど。色んな人が書いてるように、ちゃんと歌がセリフ。レミゼのように全部歌なのではないけど(♪そいつはまるでオペラ〜)。ああうまく言えない。ソンドハイム氏本人は、グロテスクなオペレッタと言ってるそうな←パンフより。
・新聞には、トッドをテロリストとして捉えた評が載ってたけど、ワタシには陰惨な目の前の舞台を受け止めるので精一杯でした。でも笑えるセリフも多いんよね。残酷なことに。
・市村さんはさすがの一言。当たり前やけど、この前のいい加減な詐欺師とは別人。怖いんですよ、ほんとに。妻と娘を思う寂しいナンバーにも、暗い情念が渦巻いて。普通に考えたら狂気なのに、でも狂ってるように見えない。歌も難しそうやのに、すごいや。
大竹しのぶも初体験。テレビでボケボケしゃべってるのと全然違う。女優さんやなー。歌はうまいわけじゃないけど(ブロードウェイリバイバル版のパティ・ルポンはよっぽどうまいんやと思う)、歌が芝居やった。亜門さんの思惑大当たりやね。怖い人なのに、マンガチックて笑いも誘う。ラヴェット夫人もかわいそうな人やった。
・この二人が1幕ラストに歌うナンバーが面白かった。人肉パイの味を評するというすごい歌詞なんですがw
キムラ緑子さんは例の老婆。怖っ。でも、ラヴェット夫人とは異なり、この役はもうちょっと歌える人が良かったかも。。たぶん「大竹しのぶ」は別格なんよね。だって彼女はラヴェット夫人やったもん。
・ターピン判事は変態やった。立川さん、シリアス顔やのに…
ビードル斉藤暁さんはあんな感じでした。踊る〜のイメージそのままの小役人。
城田優は歌は普通やったけど、スタイルよくて、キツイメイクながらかっこよかった。上脱いでたよ。
・トバイアスは武田真治。最初、全然わからんかった。あの人、30超えてるんよねー?
ちゃんと頭の弱い男の子に見えた。トートも観てみたかったなー。歌声が弱々しかったのは、演技としてよね…?
・今回、予想以上に良かったのがソニン!びっくりした。声量がもうちょっとあればーとも思ったけど(城田くんとのデュエットは、彼の声がデカイから消される時があるんよね…)、歌うまい。声もすごくキレイで、汚れない、汚れなさすぎて怖いジョアンナやった。病院で♪日曜に結婚するの〜って歌い続けるとこは相当怖かった。常に怯えてる演技も上手やなーと。これは『血の婚礼』も楽しみやね!←観たいらしい。
・アンサンブルもうまかったです。繰り返される「スィーニー・トッドのバラード」とか狂気じみてた。
・そんちゃん、あんまりわからんかったー。3番目の客の妻はわかったけど。山崎ちかさんがあの長い髪を振り回し、ヘドバンしてはった←患者の時)。