オセロー(@シアタードラマシティ)

ついつい蜷川さんの舞台って観に行っちゃうのよね。。チケット高いのに。。

・観客はイアーゴーの企みを知っているので、彼とオセローのやり取りは端から見ると面白い。そんなん信じるなよ、オセローってなるんやけど。それほどにまっすぐすぎる。思い込みって怖いよね。「正直すぎるイアーゴー」は嘘なんかつかない。そう思い込んじゃってるから、デズデモーナとキャシオーの不倫を疑っちゃうんだろうね(黒人ゆえの劣等感はあんまり感じなかったかも。鋼太郎さん、堂々としててかっこいいしな)。
・ちょっと鋼太郎さんかわいいんやけど。ほんと、デズデモーナが好きで好きでしかたないのな!デレデレしちゃってさー!キプロスで出迎えた兵士たちも、絶対ラブラブっぷりにはいはいってなってるよ!デズデモーナを殺した後の慟哭は見てて苦しくなりました。「デズデモーナー、死んでしまったー」っていうとこ。普通お前が殺したんやろ!ってなるけど、この嘆き様を見てるとほんと悲劇だなーと。
・悪者イアーゴーは高橋洋さん。悪いです。最低です。素敵。客席の6割は高橋イアーゴーを観にきてるよね、たぶん(もちろんワタシも入ってる)。カテコの拍手も一際大きかったし。「正直なイアーゴー」部分がすごくハマってるので、悪だくみしてる時の嫌らしさが引き立つ。
・高橋さんと並んで楽しみやったのが、蒼井デズデモーナ。イメージ通りの汚しようのない清潔さ。早口のセリフがすべっちゃうのは残念やった。まあ、「父」とか言いにくいしな。ラスト近くの独白(でいいのかな。イアーゴーとエミリアに、私は何もしていないみたいなことを言うとこ)は、心の中をぶちまけるようで泣けました。自分が何の疑いをかけられてるのかわからん状況とかキツすぎる。でも、激してもきれいでよく通る声。「柳の歌」も澄んで美しい。こんなデズデモーナが、不義なんて働くわけがないよ!バカオセロー!
・今回、地味ながら良かったのが、デズデモーナを殺したオセローにぶちギレるエミリア。馬渕英理可って、ちょこちょこ舞台やってるよね?シリアスな場面やのに、笑いがもれる程の思い切りの良い罵声。デズデモーナと浮気がどうこう言い合う場面も、おしゃべりで口が達者で頭の回転が早い感じが出てて、感心しました。
・副官キャシオーは山口馬木也さん。髪の毛ボンバっててかわいいv酔っ払い演技が、本気でうっとおしい酔っ払いで面白かったです、その後で、しゅーんってなるとこが犬みたいでかわいい。剣を交える場面が何カ所かあったんですが、そら大二郎さんやから強いわな!と一人で思ってました。
・壌晴彦さんがあんまり出番なくて残念。でも、父親って寂しいよねって父親でもないのに、すごく感情移入したよ。それほどに切ない父。そして大好きな声でした。
・最近、著名人が出るような舞台は何でもスタオベするんやけど、そんなもんなんやろうか?そらワタシだって、すごいもんを観た!って思う時はするけどさ。あと、レミはなんだかしてしまうけどさ。感じ方はそれぞれなんだし、ワタシがとやかく言うもんでもないけど、何でもかんでも立っちゃうと、自分の中の「素晴らしかった」っていう基準がどんどん下がっていくようで嫌だと思う。